福岡・人吉、そして佐世保へ。三度めの出会いに思う、旅する蝶と私の小さなご縁。
立花山で初めて見た旅する蝶
14年前の秋。
福岡の立花山でハイキングをしていたとき、
ふわりと水色の羽が視界を横切りました。
それが、アサギマダラとの初めての出会いでした。
光を透かすような淡い青、ゆったりした羽ばたき。
そのとき初めて、この蝶は、海を渡るんだと知り、
自然ってすごいなぁ…と心が静かに動いたのを覚えています。
人吉の山の中で、もう一度
2回目の出会いは、7年前の春。
人吉へ“夏目友人帳の聖地巡礼”に行ったとき。
山道を歩いていたら、またふわりと浅葱色の影が。
まるでアニメの中のワンシーンみたいで、
「えっ、あなたまたここに?」と声をかけたくなりました。
あのときの空気も、木漏れ日も、今でもはっきり覚えています。
息子のアパートに舞い降りた蝶
そして10月の25日。
佐世保の息子のアパートを訪ねたときのこと。
アパートの駐車場に車を止めて、ドアを開けたら、
フジバカマの花が咲いていて、ふわりと浅葱色の羽が舞い降りました。
その瞬間──「またあなた!」と思わず笑ってしまいました。
まさか、こんな街中で再会するなんて。
浅葱色の羽をひらひらさせながら、まるで“お久しぶり”って言っているみたい。
14年前の立花山、そして人吉の山の中。
どの出会いも偶然だったけれど、
こうして三度も姿を見せてくれると、なんだかご縁を感じます。
きっとアサギマダラは、旅の途中でふと立ち寄ってくれたんでしょうね。
その姿を見ていたら、私も“どこへ行っても大丈夫だよ”って言われたような気がしました。
またいつか、どこかでふわりと会えるといいな。
──今日もどこかで、浅葱色の羽がふわりと揺れているかもしれません。

